犬の飼い方|箕⾯市の動物病院ならつきい動物病院
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豆知識

犬の飼い方

犬はオオカミの祖先からつくられました。犬は約3万年ほど昔に人類と共に生活し始めたといわれています。長い年月をかけて、様々な用途に合わせて多数の犬種がつくられました。ネコが家族を親として見ているのに比べ、犬は群れの仲間として見ているといわれています。
 犬は人間社会の中で、犬としての考え方をしながら暮らしています。犬は優れた知性と特殊な能力で何万年もの間人間の最良のパートナーとして暮らしてきま した。しかし、犬としては当たり前の行動でも、人間と一緒に暮らす上では人間にとっては問題となるものもあります。人間社会の中で本人も周りの人間もより 幸せにすごすために、しっかりしつけてあげる必要があります。最初はやんちゃで手に余ることもあるかもしれませんが、人間の心をくみ取り、人間とともに楽 しむことを心から喜んでくれるコンパニオンは、十数年あなたの最良の友となってくれるでしょう。


●子犬がうちにやってきたら
 まずは環境になじませることが大切です。移動によって疲れているので最初はゆっくり休ませてあげてください。環境になじむまで最初の1週間くらいは触りすぎないように気をつけて(特にお子さんは!)下さい。子犬の睡眠時間は最低15時間といわれているので、寝ているときは起こさないようにしましょう。
 子犬の方からの誘いかけがあれば疲れてしまわない程度に遊んであげて下さい。子犬に寂しそう/不安そうな様子があるときはやさしく声をかけながらゆっくりと触れてあげて下さい。大きな声で驚かせたりするのは禁物です。
 家に来て1-3日間は夜中に寂しくて鳴くことがあります。その場合は、すこし明るくしておき、かちかち音のする時計や、小さなラジオをおいてあげると落 ち着くかもしれません。どうしても落ち着かない場合、人がいるのが分かるような場所にケージをおいてあげるのも一つの方法です。鳴いているときに行くと、 鳴けば人が来てくれると犬が学習するのでけっしてかまいに行ってはいけません。
 部屋のどこかの片隅にクレートやケージなどをもうけて、子犬のいる場所をきちんと決めてあげて下さい。
 
●大切なしつけ
いいリーダーになる
 犬は群れを作って生活する動物です。家族の中で、自分を人と思っているのではなく、家族を一つの群れと認識して暮らしています。犬の幸せは2種類あり、一つ目は
群れの中でリーダーになること、もう一つはいいリーダーに巡り会うことです。家庭の中で飼うときは、言うまでもなく人がリーダーにならないといけません。無理矢理いやなことをさせるのは良いリーダーではありません。力ずくで言うことを聞かせるのではなく、犬が喜んで人に従っているようにしなければなりません。
 また、犬が自分が偉いと勘違いをしないように、普段から「ごはんは家族の最後にする、目の前で家族げんかをしない、散歩は人間がリードする、肩に抱いた り犬の目線の方を高くさせない」などに気をつける必要があります。また何かを与えるときにはまず人間が命令をし、それに従ったご褒美としてものをあげるよ うにしましょう。犬が要求したり主導権を取っているときに報酬を与えるのは犬が勘違いしてアルファーシンドロームなどの問題行動の原因になります。

褒美と叱り
 失敗してしかりつけることは効果がないばかりか、かえって害の方が多いことがあります。いけないことをしたときに声をかけるなら、失敗してから3秒以内 に短い言葉で声をかけないといけません。たとえばなにかの失敗を何分もしてから叱っても無意味ですし、犬は飼い主に「いやな目に遭わされた」としか思いま せん。後から言われても反省もしないし、学習もしません。よく「うちの犬は反省した顔をする」というのは大きな勘違いです。実際には雰囲気がきまずいので とりあえず服従姿勢を示しているだけで、間違っても反省しているのではありません。叱っても問題の解決にならないばかりか、犬と飼い主の心の絆を壊して、 顔を合わせると逃げていくような犬になることもあります。
褒美をあげるということの反対は褒美をあげないといいうことであり、罰というのは全く別の次元のものです。
 犬はよく日和見主義者といわれますが、自分にとって楽しいことは喜んでする動物です。「いけない、いけない」と連呼しながらいやなことを無理にさせるの でなく、人にとって好ましい行動をとったときに、思い切りほめてその行動を強化するようにしましょう。
気がつくと人に従う形になっているような状態にするのが順位を覚えさせるポイントです。

社会化の時期
 人は「三つ子の魂百まで」といいますが、犬の性格は6ヶ月まででほぼ決まってしまいます。特に
生後4週から12週までは社会化期と 言われ、4-8週は巣から出始め好奇心がもっとも強い時期、8-12週は外敵に出会いはじめ恐怖心を覚える時期といわれていますので、覚えておいて下さ い。他の犬や動物、乗り物に馴れさせるには8週までにいろんな経験をさせるのがいいと言われています(※完全に免疫力が付くのは生後90日以降のワクチン が終わってからなのでそれは要注意ですが)。
 犬の訓練は犬が家にきたその日から始まっています。しつけの基本は良い行動を強化する、悪い行動に対して褒美を与えない、ということです。良い関係を築 くことは人と動物がお互いに幸せに暮らせるようになる基礎になります。がんばっていい犬に育てましょう。犬の将来は飼い主さんにかかっています。

アイコンタクト
 アイコンタクトはしつけの基本です。アイコンタクトができるということはリーダーシップがとれているということの基礎です。
 最初は名前を呼んでこちらを向かせることから始めますが、
名前を呼ぶときはなにかいいことがあるときだ けにしてください。なにも無いときに呼んだり、呼びつけて叱ったりすると、名前を呼ばれても無視するようになったり、場合によっては名前を呼ばれると逃げ ていくようになります。最初はフードを目と目の間に持っていき、名前を呼んでこちらをじーっと見ることができたら、ご褒美としてそのフードをあげます。そ うして、人間に呼ばれるといいことがあると覚えさせて下さい。アイコンタクトができると、散歩中に立ち止まらせたりと危険防止にもなりますし、なにより支 配性を確立する第一歩となります。
 成長してからも、飼い主さんの目をよく見上げる犬は飼い主さんをリーダーとして認め、指示がないか確認している証拠ですが、飼い主がリーダーとよく分かっていない犬は自分のしたいときに好きなことをして飼い主さんにかまわない行動を取ります。

おすわり・ふせ・まて・おいで
 幼いうちは完全にするのは無理ですが、少しずつできることを教えていきましょう。ポイントは
無理強いさせない・成功したらその場でオーバーなくらい思い切りほめると いうことです。自然に犬がそういうポーズをとるようにし、したら褒美をあげるようにします。例えば、おすわりも無理に尻を押し下げるのでなく、おやつを目 の上に持っていって、自然と腰が下がったらすかさず「すわれ」と声をかけて、それからおやつをあげます。そうすると、座った行動と号令と、ご褒美が結びつ いて記憶されます。次第に喜んで号令に反応するようになります(陽性強化)。無理にさせてそれが支配性につながるのではなく、よろこんで命令に従うことで人間を良いリーダーと認識していくのだと覚えておいてください。

クレートトレーニングとトイレのしつけ
 犬の祖先は穴ぐらなどを巣にし、子犬は普段は巣の中にいてトイレの時に外に行って用を足していました。巣の中にトイレするスペースを区切ったりすること はありません。家の中でもクレートを使って、落ち着いて寝る空間を作ってあげます。普段はそこに入れて休ませておき、遊んだりトイレをするときだけ出すよ うにします。鳴いたからとかまうのはよくありません。そして外もしくはトイレに1-2時間置きくらいに連れていきます。そして飼い主の前でトイレをしたら うんと褒めてあげ、なにもしなかったらそのままクレートの中に戻します。そうすることで、
クレートの中ではおとなしくしているということと外でトイレをすること、飼い主の前でトイレすると楽しいということを学びます。
 頻繁に連れて行けないという人には手抜きの方法として、トイレするスペースを作る方法もあります。サークルを使うなら最初は一面に新聞紙をしいて、新聞 紙の上でトイレすることを覚えたら徐々に新聞紙を小さくしていきます。においが重要な要素の一つですので、新聞紙は全部取り替えるのではなく、重ねた新聞 紙の上部分だけ取り替えて、下の新聞紙は元のを使うといいでしょう。失敗しても叱らずに、新聞紙の大きさを元の大きさに戻してまた小さくしていきます。 サークルをU字型にして、寝るスペースとトイレするスペースをわかりやすくするのもいいでしょう。
 従来いわれていた、
失敗したらそこに鼻をこすりつけて畳を新聞紙でバンバン叩きなさいというのは無意味なだけでなく逆効果な のでしないでください。それをするとそそうをしているときに飼い主が来ると隅に隠れるようになったり、飼い主から隠れて隅でそそうをするようになることが あります。犬に不安感と飼い主への恐怖心を与え、心の絆を破壊します。現行犯の時はひと言「いけない」と声をかけ、トイレに連れて行ってください。後で 叱っても犬には分かりません。よく犬が反省した顔をするというのは間違いであり、おおむねそれは怒られないための服従姿勢です。

噛み癖・飛びつき癖
 子犬にはものを噛んだり、じゃれたりする本能があります。特に生後4-6ヶ月は歯の抜け替わりの時期なので特に歯がむずむずします。それは発散させてや らないといけないのですが、人にとっても犬にとっても危険のない方法で行う必要があります。いわゆるじゃれ噛みの時に手を噛ませて遊んだり、声を上げてか まったりすると、人を噛むと楽しいと学習して、困ったことになってしまいます。人にとって好ましくない行動をしているときはまず、褒美を与えないというこ とに徹底してください。そういう行動をしだした時には
声もかけずにその場を立ち去るか、行動をとれない状態にするか(飛びついてきたときに膝蹴りなど)、「だめ!」とひと言いって叱りつけるかです。叩いたりすると、よけい興奮したりすることもあるのでおすすめできません。
 その代わりに噛んでも差し支えない好ましいおもちゃを与えましょう。基準は
犬にも無害でわかりやすいものです。コング(ゴムのおもちゃ)などがおすすめです。古靴下や古靴、古スリッパなどは新しいものとの区別が付きにくいので止めて下さい。
 靴などを噛んでいるときにそれをとろうとすると、大切なものを横取りされると考えて奪われまいとしたり、噛みついてきたりすることもあるので気をつけて ください。目を離した隙に片付けた方がいいでしょう。特定のものをかじって困るときには、ビターアップル(苦い薬)などを使う手もあります。とうがらしは 刺激が強いので止めた方がいいでしょう。

主導権は人間が持つ
 犬は群れの中での順位をいつも考えている動物ですが、リーダーになるのは人間でなくてはいけません。鳴いたからかまってやる、吠えたからごはんをや る・・などとしていたのではどちらがご主人か分かりません。犬がご褒美をもらえるときは、犬が望んだからもらえるのではなく、人に従ったときだけもらえる という風に統一しましょう。
 犬が何かを要求したときにはいったんその要求は無視し、間をおいてからお座り・お手などをさせ、それができたらはじめて褒美を与えるようにしてくださ い。食事を与えていたとしても犬が命令して人が給餌しているという形であれば、犬は人のことを召し使いくらいに思っていることもあります。

問題行動
 時として、人にとっては耐え難いようないわゆる「問題行動」が起こることがありますが、人が犬のもともとの生活行動を理解していないため、もしくは犬が問題行動を起こすような環境を作っていることが原因のことが多いです。
問題行動のある時にはそのうちの約80%は人間に原因があるといわれています。
 なにか問題となるような行動をしているときにはまず、その状況を細かくチェックしてください。排尿の失敗だと、トイレの汚れとか膀胱炎などの病気が問題になっていることもあります。また
問題行動に対して人間が知らず知らずにご褒美をあげていることもあります。犬がワンワン吠えているときにかまいに行っていると、吠え癖はずっと直りません。
 問題行動があるときには
まずご褒美をあげないようにして、それに代わる好ましい行動を教え、強化してください。